60分jog、1000mインターバル走、レペテーショントレーニング、30㎞走、体幹トレーニングなどマラソンの練習は、距離やペースの組み合わせも含めれば無限に存在します。その中でも、初心者から上級者までほとんどのランナーが同じ水準でできる練習がLSDです。僕は高校2年生の時に今回紹介するLSDを始めてから、トラックレースでもロードレースでも自己ベストを更新しました。今回はただゆっくり走るだけではない、「速くなるためのLSD」を紹介します。

 

1.LSDとは

LSDとは(Long Slow Distance)の頭文字をとった言葉です。

練習方法としては文字通り「長く」「ゆっくり」「距離」を走る練習で、フルマラソンを走ったことがあるランナーなら、100分LSDや20㎞LSDというメニューを1度は行ったことがある(もしくは聞いたことがある)練習方法だと思います。

LSDという言葉は総称なので時間や距離には個人差があり、適切な時間や距離は人それぞれで異なりますが、最低でも90分以上継続して走ることで効果が得やすいとされています。理由は次のパートで紹介します。

 

2.LSDの効果と目的

一般的にLSDを実践することで「筋肉の有酸素能力の向上」や「脂質を燃焼させてエネルギーにしやすい体質に変化させる」ことを期待できると言われています。特に後者の「脂質を燃焼させてエネルギーにさせる」ことは30㎞や40㎞の距離走を除けば他のどんな練習にも勝ると思います。

運動時のエネルギーは「①グリコーゲンとして蓄えられている糖質」、「②体脂肪として蓄えられている脂質」、「③逆境に打ち克つメンタルや目標達成意欲」の3つに分けられます。

しかし①の糖質は、②の脂質に比べて体内に貯蔵できるエネルギー量が少ないので、②の脂質を燃焼させてエネルギー源にすることが、長時間の運動には効果的と言われています。運動強度にもよりますが、30分以上の運動から脂質燃焼優位のエネルギー消費が促されるとされています。パート1で紹介した最低90分以上継続して走ることを勧めたのは、脂肪の燃焼をエネルギーにできる時間を確実に確保するためです。

ちなみに③のメンタルも1人でLSDを行うと鍛えられます。(笑)

 

3.速くなるためのLSDのメリット①

上記は一般的なLSDを行うメリットですが、速くなるためのLSDには上述した内容とは別に大きく分けて2つのメリットがあります。

1つ目は「力まないランニングフォーム」ができることです。

私はこの効果こそLSDを行う最大のメリットだと考えます。トラック・ロードに限らず、どの種目にも言えることですが、力の入りすぎたランニングフォームは、腕振りや蹴り上げの時に体の末端側(掌やふくらはぎ)に頼ってしまい、「頑張っているのに進まない」、「いつも以上に体力を消耗する」という状況に陥ります。

速くなるためのLSDだと強制的に力めないペースを作り、脱力して走ることができるので、筋力ではなく「重心移動」を使って効率的に進めるランニングフォームに近づきます。

 

4.速くなるためのLSDのメリット②

2つ目のメリットは、「夏場の距離走の代用」になることです。

夏場は気温が高く避暑地で合宿でも行わない限りは、インターバルトレーニングなどのスピードトレーニングがメインになります。「夏はスピード」と割り切って練習を行うのも否定しませんが、10月、11月にレースを控えているランナーは、8月から距離を踏んでいくのが理想です。

私も箱根駅伝を目指していた大学時代の夏休みは、お盆休みの数日以外、計28日間は福島・新潟・長野で合宿をし、月に1000㎞前後走っていました。スピード練習は数える程しか行っていません。

思い出すだけで具合が悪くなるような夏休みでしたが、そこまで距離を走った目的は脚の筋力づくりも理由の1つですが、パート2でも紹介した「脂質を燃焼させる体」を作るためです。

実際に8月最初の30㎞走では、直前にゼリーやおにぎりを食べても低血糖で倒れてしまいましたが、距離走を複数回行った8月末には朝6時に空腹でスタートしても難なく完走できました。

真夏に長時間にわたって高強度のトレーニングを行おうとしても、練習の質は下がり、熱中症のリスクもあります。それならば避暑地での合宿は難しくても、「週に1度、低強度のLSD」をスピード練習と並行して行うことで、距離走の代用として脂質をエネルギーにできる体を作りましょう。

 

5.LSDは速く走ることを目的としない

さてここまでLSDの目的やメリットについて紹介させていただきましたが、僕も実際に現役時代に行っていた速くなるためのLSDは「120分以上絶対に7’00’’/㎞より速く走らないLSD」です。メニューとしては120分LSD(キロ7分)や150分LSD(キロ7分30秒)です。

「それだけ?」と思うかも知れませんがこれが意外と難しいです。僕も最初は30分程度走ると自然とペースも上がって5’00’’/㎞前後になっていましたが、それではメリットで挙げた「力まないランニングフォーム」ができません。自分の走りやすい走り方で悪い癖も出てきます。逆に7’30”/㎞で120分走ろうと思ったら、絶対に力んでいては走れません。

自然と、無意識に脱力し、重心移動を使ったランニングフォームに近づきます。

「LSDをするとフォームが悪くなる」と聞いたことがある方もいると思いますが、確かに最初は違和感があるかも知れません。しかし、回数をこなすうちに洗練されていきます。1回や2回で結果を求めず、月に2回以上を目標に習慣的に行いましょう。

※ゆっくり走るとどうしてもフォームが崩れてしまうという方は、腰高フォームへの第1歩ランニングスタビライザー」をチェック

また毎回しっかりと120分走っていたとしても、信号などで止まっていたら、都度ペースやリズムは変わってしまいます。なるべく信号の少ないコースや、ジョギングOKの公園や競技場の外周など走り続けられるコースを選ぶと良いです。

 

6.ゆっくり走ることが大前提

今回はLSDについて紹介させていただきました。「昔は7’00”/㎞だったLSDが、今では5’30”/㎞になったよ!」というランナーをよく見かけますが、LSDは冒頭紹介したようにLong Slow Distanceです。ゆっくり走ることに真の価値があります。

他の練習とは違い、記録とともに設定が速くなっていくメニューではありません。

速くなるためのLSDは初心者から上級者までどんなランナーでも平等に強くなるチャンスがあります。ペースアップしたくなる気持ちをグッと堪えて、肩の力を抜くことでより大きな成果を得られます。ゆっくり走ることで速くなれる楽しさを皆さんと共感できれば嬉しいです。

 

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